男の子の場合


「いい加減泣き止めよー」
「男の子だろ」
「うっるさいな!!」
双子の兄の言葉に、ロンは乱暴に言葉を返す。
だが、その顔が半べそなものだから全く迫力に欠けていた。

ハーマイオニーを連れ立ってグリフィンドールの娯楽室へやってきたハリーは、人だかりの中心にロンの姿を見つける。
「あれ、どうしたの。ロン!」
慌てて駆け寄ると、涙のロンに代わりジョージが事情を説明した。
「それがさ、ロンの服の中にこいつが入ってきたんだって」
ジョージはある昆虫を摘み上げて苦笑いをしている。
蜘蛛。
ロンが最も苦手とする生物だ。
まだ息の有るそれはしきりに足を動かし逃げようとしている。
「あっちにやってくれよ!」
ロンは懇願するようにジョージに言う。

 

「くっそー!絶対にドラコ・マルフォイの仕業だ!!奴の嫌がらせなんだ!」
「でも、あいつはこの寮に入れないだろ」
「奴の手下が何かしたのかもしれない!」
怒りのあまり、ロンは正常な思考ができなくなっている。
ハリーはロンの肩を優しく叩いた。
「そんな決め付けなくても」
「ハリーは分からないからそんなこと言うんだよ!」
ロンはぶるぶると身体を震わせて熱弁する。

「何だか背中がもぞもぞとすると思って上着を脱いだら、それが・・・」
ロンはジョージの手の蜘蛛を指さす。
名前を口にすることすら嫌らしい。
「そのとき僕がどんな気持ちだったか分かる!!」

背中を這い回る蜘蛛。
誰が想像しても、あまり気持ちのいいものではない。
皆一様に表情を歪ませる。

感覚を思い出したのか、ロンは再び涙を滲ませた。
「百回シャワーを浴びてもあの感触は忘れられないよー!」
ロンはわっと泣き崩れる。
彼と親しい周りの人間は皆困惑気味に顔を見合わせた。

 

「ロン」
泣き止む様子のないロンに、それまでじっと彼を見詰めていたハリーが身を乗り出す。
すぐ間近にあるハリーの顔に、ロンは小首を傾げた。
「・・・ハリー?」
「ちょっと待ったーー!!!!」
唐突に、ハーマイオニーが大きく静止の声をかける。
あまりの大音声に、その場にいた全員がどきりと身を縮ませた。
「な、何?」
皆の視線が集中する中、ハーマイオニーはずいとハリーに詰め寄る。

「ハリー、あなたまたやろうとしたわね・・・」
「だって、ロン泣いてるし」
悪びれた様子もなく言うハリーに、ハーマイオニーはがっくりとうなだれる。
「彼は男だから問題ないだろ」
「男の子の場合はよけいに駄目なの!!!」

しかも公衆の面前。
もし成功していたら、以後何を言われるか分かったものではない。

 

「あの、何の話?」
戸惑うロンを、ハーマイオニーはきつく睨みつける。
「ロン、あなた男でしょ!そんなことでいちいち泣いてるんじゃないわよ。男は両親が死んだときと財布を落としたときしか泣いちゃいけないの。分かった!!!」
「は、はい!!」
ハーマイオニーの剣幕に呑まれ、ロンは思わず返事をする。
涙もいつの間にか止まっていた。
「よろしい」
鼻息も荒く言うと、ハーマイオニーはハリーを引きずってその部屋から姿を消す。

「分かった?」
ロンは傍らのフレッドにハーマイオニーの一連の行動と、彼女とハリーとの会話の意味を問う。
その質問に、フレッドのみならずロンを取り囲んでいた全員が首を振った。


あとがき??
うちのハリー、ロンが望んだら簡単に体を許してしまいそうで嫌なんですけど・・・。
ハリー絡みのカップリングはホモでもいけるらしいです、私。
むしろ書きたいというか。ヤバ!
でも、基本はハーハリ(ハリハー)。
ハリポタで同人はまずいらしいので、この部屋もそろそろ終わりだろうか。

ところで、ロンの苦手なものって蜘蛛でよかったか??記憶曖昧。(原作手元にない)
違ってたらすみません。


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