猫?


「あれ、ハリー。どうしての、それ」
ロンはハリーの喉元に貼ってある絆創膏を指差して訊ねる。
「・・・ああ。ちょっと猫に噛み付かれたんだ」
「クルックシャンクスだろ!!」
ハリーが答えるなり、ロンは決めつける。
ロンはどうやらハーマイオニーの飼い猫と相性が悪いらしく、よく引っかかれていた。
「あいつ、椅子からどかしただけで僕に飛びかかってきたんだ!!」
「クルックシャンクスが噛み付く相手はロンくらいだよ」
ハリーは苦笑して言った。

「そんなことよりさ、ちょっとこっち来てよ、ハリー」
ロンは廊下から中を探り、人の居ない教室を探し出した。
何か見せたいものがあるとかで、ハリーを伴って今まで歩いていたのだ。
「何なの」
「へへー。いいものだよ」
椅子に座るなり、ロンは意味ありげに微笑む。

 

「フレッドとジョージが貸してくれたんだ」
ロンが鞄から取り出したのは、一冊の雑誌だった。
きわどい服装をしたお姉さんの写真が掲載された、いわゆる未成年購入禁止本。
「ハリーも興味あるだろ」
「・・・・僕は別にいいよ」
楽しげなロンと違い、ハリーは反応が薄かった。
明らかに感心がないといった様子のハリーに、ロンはため息をつく。

「ハリーってば、子供だなぁ。男ならこういう本を読んで勉強しないと・・・」
「何の勉強?」
唐突に乱入した少女の声に、ロンは1メートルほど飛び上がった。
振り返ると、教室の扉付近に腕を組んで仁王立ちするハーマイオニーがいる。
「ハ、ハーマイオニー。いつから」
「あなた達がこそこそと廊下を歩いてたときから付けてたのよ。今、何を隠したの!?」
ハーマイオニーは、まるで生徒の悪戯を発見した教師のようにロンに近づく。

 

「見せなさいよ」
「駄目だってば!」
押し問答が続いたが、結局ロンはハーマイオニーの力押しに負けた。
何となく気まずい空気が流れたが、ハーマイオニーは意外に冷静だった。
「・・・・なんだ。こんなの見てたんだ」
平然とした顔で、ハーマイオニーはロンから奪った雑誌を眺める。
『巨乳特集』と書かれた見だしに、ハーマイオニーは眉をひそめてロンを見上げた。

「こんなの、どこがいいのよ」
「そりゃ、ハーマイオニーみたいにぺったんこより、大きい方が・・・」
「ロン」
ハリーがロンの言葉を遮ったときには、もう遅かった。
険しい表情のハーマイオニーがロンを射抜くようにして睨んでいる。

「没収よ!!!」
言うが早いか、ハーマイオニーは踵を返して歩き出す。
「こんなもの、焼却炉で燃やしてあげるわ!」
「え、ちょっと、それ借り物なんだって」
「知らないわよ!!」
吐き捨てるように言うと、ハーマイオニーはずかずかと足を踏みならして教室から出ていった。
嵐が去ったあとには、どうしたらいいか分からず立ちつくすロンとハリーがいる。

 

「馬鹿だなぁ・・・」
ハリーは溜息混じりにロンの肩を叩いた。
「ハーマイオニー、わりと着やせするタイプなんだよ」
言いながら、ハリーは扉に向かって歩き始める。

「どこ行くんだよ」
思わず訊ねたロンに、ハリーはおもむろに振り返る。
「猫、捕まえなきゃ」
「え??」
「ロンのせいでつむじを曲げたみたいだから」
くすりと笑うハリーの言葉は、ロンには全く意味不明だった。


あとがき??
ハリーの問題発言の数々を深読みしてください。(^_^;)
ハリーの絆創膏は思い切りキスマーク隠しですね。ちょっと古い手段ですが。
「子供はどっちだ?」ってのが、サブタイトル。
生が近くにいるのに、写真に興味を示すはずがないですな。(笑)
ああ。ハリハーで浦書きたいなぁ。


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