房事(おまけ)

 

「カカシ先生なんか嫌い!」

何かの拍子に、つい、口を衝いて出てしまったのだ。
それ以来、カカシはすっかり姿を見せなくなってしまった。
いや、昼間は普通に七班で活動しているのだが、夜、忍んで部屋にやってくることがない。
数日の間はサクラも清々した気持ちで安眠していたのだが、何日か経つうちに、不思議と寝付きが悪くなる。
自然なことと分かっていても、目が覚めてすぐ隣りに誰もいないことが、妙に心細く感じられた。

 

「・・・・はぁ」
夜中にトイレに起きたサクラは、カカシ達の寝ている部屋の前を通り、自然とため息をつく。
今夜もカカシは現れなかった。
だが、それを残念に思っているはずがない。
心に言い聞かせ、前方を見据えたサクラはドキリと胸を高鳴らせる。
廊下の向こうから歩いてきたのは、サクラが今うち消したばかりの顔だ。

「あれ、サクラ。どうしたの、こんな時間に」
「・・・・ちょっと、お手洗いに」
「そう」
「先生は?」
「喉が渇いて目が覚めたから、水飲んできた」
サクラの前までやってくると、カカシはにっこりと笑いかける。
ハッとした様子で俯いたサクラの頬は微かに赤いようだった。

「あの・・・この前、言い過ぎて、ごめんなさい」
「何?」
「き、嫌いって・・・・」
「ああ」
顎に手を当てたカカシは、思い出したのか、小さく頷いた。
「じゃあさ、サクラ、俺のこと好き?」
「・・・・・嫌いじゃない、わよ」

 

恥じらいを見せるサクラを堪らずに抱き寄せると、彼女は抵抗することなくカカシの腕の中に収まる。
唇を合わせても、今までと違って積極的に舌を絡めてきた気がした。
これならば今から部屋に上がり込んでも、何も言わないはずだ。
さらには、布団の中の所作もただ身を縮ませるだけでなく、少しは大胆になってくれるかもしれない。

押して押して押して、最期に少し引いてみる。
そうすれば、相手は急に気になり出すというのがカカシの考えだ。
可愛いサクラの調教第一段階はどうやら成功のようだった。

 

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